それは、もののけ姫に登場する妖怪の名前を冠した、掘り炬燵の和食屋でした。ハイボールは置かないという、最近には珍しい硬派な店が、1軒目。

5人入れますよ〜と客引きのニイちゃんに声をかけられて、どう見ても3人掛けソファに押し寿司のようにキツキツに詰め込まれたフィリピンパブが、2軒目。

突然、水割りをください、の伝統的なイッキ芸を披露した50歳の上司の人の姿がやけに眩しく、それまで我が身かわいさに唇を湿らす程度にちびりちびりと舐めていたジンロのグラスを、ええいと呷ったのです。

1軒目は5人だったのが、2軒目、3軒目と進むにつれて、4人、3人とその数を減らしていきました。まるで、切り離しロケットのようだ!

んで。その辺りからが、怪しい。

モダンな雰囲気のおでん屋で、冷酒の徳利を倒してスーツのズボンがビショビショになったことは覚えています。おろしたてだったのに!
しかし、皮付きのアボカドをアツアツおでんの具にするおでん屋なんて、現実なのかしらん。

締めはラーメンだと両手を挙げて、揚々とリンガーハットの扉を開けた僕を、それはチャンポンだと止めてくれたのは、誰だったんでしょう。

最終的には、スケートリンクのように床がヌルヌルした中華料理屋で、餃子とメンマをつまみにビールの2杯目を注文した記憶も、あります。

しかし、骨も折らず、鞄も失くさずに帰ってきたのは、偉いぞ!人は、いくつになっても成長、できるんだ!

でね、ホントはね、ヨメサンと子供を追いかけて、今日、ヨメサンの実家に向かうはずだったんです。

僕がむくりと起きたのは、割とさっきで、もう外は暗かったからね、こりゃムリだと。

しょうがないから、とりあえず軽く御飯たべて落ち着こうとしている、というわけなのです。

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そしてヨメサンがね、電話に、出ない。僕もね、ピン!ときています。たぶんね、超怒ってる。ああ…。

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