これもkindle unlimitedで最近読んだ本。

ピエール=イヴ・ドンゼ著「『機械式時計』という名のラグジュアリー戦略」(株式会社世界文化社)

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1970年代、クオーツショックにより、瀕死となったスイスの時計産業。そこに颯爽と登場したニコラス・G・ハイエック氏は、保守的なスイス時計メーカーが作りたがらなかったプラスチック製のクオーツ時計(=スウォッチ)を引っさげて日本製品が席巻する時計市場に殴り込みをかけ、スウォッチで得た利益を伝統的な機械式時計に回して、スイス時計産業の救世主となったのであった……。

故ニコラス・G・ハイエック伝説、だいたいそんなような感じですよね。

ところが、本書は、スイス時計産業の復活の理由を、スウォッチというプロダクト・イノベーションではなく、生産システムの合理化や傘下の各ブランドを再配置する新しいマーケティング戦略、によるものであると説明している。通関統計などデータに基づいて論を展開しているので、説得力がありました。

対して、日本の時計メーカーは、プロダクト・イノベーションによって優位性を得ようという戦略を取っている。なので、技術革新無しで復活を果たしたスイス時計産業に学ぶべき、というのが本書監修者の方の意見であると理解しました。なるほどねー。


スイス時計産業とスウォッチグループの歴史はもちろんのこと、リシュモン、LVMH、ケリングなど他グループの時計産業の合併・買収の歴史も一通り記載されています。これは試験に出ますね。

とにかく長いので、最後までいっぺんに読みきれた人はたいしたもんです。僕は集中力が保ちませんでした。ところどころ何の話をしているんだったか分からなくなる章があり、特に第9章の中国市場のくだりはよく分からず、読み飛ばしてしまった。
最後の章、スウォッチグループがハイエックファミリーのものになっていて(40パーセント超の株式をハイエックファミリーが所有)、娘・息子・孫がそれぞれ錚々たるポジションに就いている、という部分は興味深いですな。この野郎、スイス時計産業の利益ではなくハイエックファミリーの利益を優先するようになっているのかケシカランと、好奇心と嫉妬心が頭をもたげてかぶりつきで熟読してしまいました。

kindle unlimited加入している方、是非読んでみたらいかがでしょう。